サンプル

2024年版
台湾工業年鑑

 

まえがき

 

 半導体によって世界での台湾の認知度が高まっていることは過言ではない。世界に先駆ける産業群の育成は台湾政府にとって急務であり、対中国依存軽減にもつながる。台湾の産業構造はすでにここ30年で情報通信科学技術や精密電子、半導体チップ、バイオ科学などのハイテク産業を主とする形態まで発展してきており、高度な製造技術、製品や製造工程の研究開発及び生産管理能力を持っている。今後を展望すると、科学技術の発展とニッチ産業の構築確立は台湾産業にとって基軸となるほか、世界情勢の変化への柔軟な対応力とシフト転換能力の育成がより重要となる。台湾は小型の開放経済に属し、国内市場の需要が経済規模に達しておらず、近年チップなど少数ハイテク産業の輸出が台湾経済の成長牽引を続けるが、欠乏している資源の輸入も同時に行われている。米中対抗や円安、地政学的リスクに見舞われる台湾の輸出環境が一層厳しくなる。