台湾大地震ニュース


T 台湾中部に大地震発生し被害甚大
  
国際協力を得ながら復興に全力

  1. 九月二十一日午前一時四十七分、台湾中部の南投県を震源地とするマグニチュード七.七の大地震が発生し、北部の台北を含む広い範囲に甚大な被害をもたらした。台湾政府はただちに「非常事態」を宣言し、被災者救助ならびに復旧活動に乗り出すとともに、各国からの緊急支援に対し感謝の意を発表した。

  2. 台湾消防署は地震による死傷者の数を発表した。
     死者2,329人、負傷者8,722人、行方不明39人、救助を待つ者35人。

  3. 台湾大地震救助災義援金の振込口座:

 第一勧業銀行白金支店 普通預金  口座番号:1424337号



U 台湾大地震対各産業の影響


1.情報電子業

 世界シェアの60%以上のコンピュータマザーボード、45%のノート型コンピュータ及び10%の半導体製品を供給している台湾では、大部分の台湾情報機器メーカーの工場棟が大地震による破壊を免れたが、停電や一部の設備故障といったことによる生産停止のために多くのコンピュータ部品で深刻な品不足をもたらされた。
 現在、台湾コンピュータ部品では、チップからスイッチング電源まで全て品不足状態になっており、宏碁、廣達、仁宝、英業達、華宇、神達、大衆などのコンピュータメーカーが部品調達に苦労している。99年10月初めの品不足状況が最も深刻であった。
 128M DRAMが99年9月28日に10米ドルの大幅な増で40米ドルにまで上がった。64M DRAMのオプション価格は約20米ドルで、数ヶ月前には1個当たり5米ドル以下だった。一部の64Mの川下モジュール業では、25米ドルで取り引きされた。台湾の生産供給不足のため、世界のDRAM市場が99年10月末までに引き続き供給不足な状態になると予測された。
 精英、建碁などマザーボードメーカーによると、SUPER I/P及びフラッシュメモリーの品不足状態はチップセットより深刻であるとともに、値上げ傾向が強まっている。協力メーカーが電力制限による中途半端な生産体制のため、生産量は平常の50-60%に留まっている。長期的なユーザーのオーダーを確保するために、業者はやむを得ずに韓国、日本、欧米及び中国から高価格部品の調達を行い、収益率が減少された。
 東元電機社によると、外国客先が台湾半導体、情報製品に対するオーダー移転の可能性は大きくない。台湾情報業がほとんど海外に工場を設置しており、国内の生産が停止になると、直ちに海外工場での生産に切り替えることができる。多くの台湾のデスクトップ型コンピュータ業及び周辺機器業が、台湾大地震後直ちに中国などの海外工場による出荷に転換した。
 東元電機社によると、台湾大地震を経験した後、情報業は緊急時の備蓄用電力の重要性を深く認識しており、各大手情報メーカーはその自社備蓄用発電システムの建設に取りかかる。東元社は大同、中興電工などと共同で電機エンジンを開発する。
 台湾区電機電子公会によると、台湾大地震による停電は台湾電機電子産業にとって短期的には不利だが、長期的にはプラスになる。重電機、電線ケーブル、家庭用電器照明器材、蓄電池など伝統内需産業は地震後復旧のため、市場需要が激増する。


2.紡績業

 台湾紡績メーカーは、そのほとんど中北部地区に集中しており、台湾電力社の電力制限の実施は紡績業者に深刻な影響を与えた。各メーカーの生産ラインは操業と停止を繰り返し、生産秩序が大幅に混乱させられ、メーカーは頭を痛めた。
 化学繊維、加工糸、紡績、毛紡績など川上原料メーカー及び織布、染色整理、不織布、アパレルなど川中メーカーは、全て電力供給の不安定に苦しめられ、生産スケージュルを狂わされた。紡績工場は台湾各地に分散しており、新竹科学園区メーカーと同じように台湾電力社に対する電力集中供給を求めることができないため、電力による困惑は言葉に表れないほど辛かった。
 桃園観音工業にある強盛染色整理メーカーは、停電の事前予知のために変電所に人を派遣し、停電する15分前に工場を知らせ、早急の対応を図った。
 工場が六堵にある中和紡績社は毎日の午前中に電力が供給されており、午後1時-6時の間は停電になり、夜に再び電力が供給される状態になっているため、該当工場の従業員は午後が休みになってその他の時間帯が出勤になっている。桃園平鎮工業区の坤慶紡織社によると、毛紡績業者は電力がされると生産を行い、停電になると操業停止になる。


3.石油化学業

 台湾石油化学メーカーの大部分の生産工場は高雄にあり、地震及び電力制限による影響を受けていないが、中、北部に工場を持っている石油化学メーカー例えば、中石化遠東デュポン、台湾デュポン、陶氏化学及び華夏海湾などは電力制限のため、深刻な操業停止による損失を蒙った。
 中石化社の頭分工業区にあるナイロン粒工場及びCPL工場は、停電により生産ラインがすべて停止し、一日当たりの操業停止による損失が600万台湾ドルに達った。台湾大地震による中石化社の操業停止による損失は、5000万台湾ドル以上になった。
 同様に華夏海湾の頭分工業区のPVC工場も電力制限のため操業停止に迫られ、台湾電力社の特高圧ユーザーに対する50%の電力供給の承諾を得た後は、生産ラインの操業が50%にまで回復したが、その時はすでに10月1日になっていた。
 台湾区石化公会によると、石油化学業に与えた台湾大地震による衝撃は大きくない。一部のメーカーは電力制限のために操業停止による損失を蒙ったが、大部分のメーカーは逆に地震後の復旧に関連するプラスチック製品に対する需要が大幅に増加するため、売上げ及び収益が大幅に増加する。

4.製紙業

 製紙業はコジェネレーションによる自主発電により対応する。コジェネレーションを持っていない製紙メーカーは電力供給時間に合わせて弾性的な交替出勤措置を取っている。ただし、台湾電力社の不安定な電力供給は製紙メーカーの頭を痛めさせた。
 連続性生産を行っている製紙業は9月21日の停電の後、コジェネレーションを持っている製紙メーカー例えば、永豊餘、正隆、栄成などのは続々と9月22,23日に運転を開始した。3日間電力供給、3日間停電という措置が実施された後、各メーカーは停電による苦境を感じていなかった。
 正隆社によると、正隆社の生産基地である大園工場、后里工場にともにコジェネレーションを設置しており、生産面では影響を受けていない。中、北部の紙器工場は電力制限を受けても台湾全国に7つの工場が配置されているため、工場間のオーダーの相互交流ができる。電力制限時間に合わせてユーザーのオーダーに対する供給は十分な対応ができている。
 製紙メーカーによると、中北部にある紙器メーカーはほとんどが電力制限を受けている。紙器メーカーは相次いで在庫が減少し、工業用紙メーカーの出荷量もそのために減少した。製紙メーカーの9月の売上げは10%減と予測され、紙器メーカーの月間販売量も1.6億平方メートルから1.4億平方メートルにまで低下し、下落幅は約12%となっている。
 永豊餘社によると、電力制限への対応では、紙器メーカーはほとんどが電力供給された時に残業を行い、停電の時に内部の整理補修を行っている。栄成社二林工場はコジェネレーションの設置があるため、生産への影響はない。紙器メーカーは停電に合わせて弾性生産を取っている。

 


◇お問合せ先: ()台湾産業研究所

住所:〒359-0045 埼玉県所沢市美原町5-2357-27
電話:042-994-7257 FAX:042-995-4178
e-mail:twsan@snw.co.jp